子犬さんのイタズラを防止する方法

子犬さんのイタズラを防止する方法

子犬さんはいつだって元気一杯です。
そのため、飼い主さんやご家族にとってイタズラと思われる行動をしてしまう事だってあります。
しかし、子犬さん自身は何が飼い主さんを困らせる行動なのか解かっていません。
それなのに子犬さんを叱りつけるのは、ちょっと可哀想ですよね。
今回は「イタズラ」と防止する方法について紹介します。

【イタズラは習性】
子犬さんは好奇心が旺盛なので、目新しいものを見つけては匂いを嗅いだり、舐めたり、噛んだりして確認してしまいます。
しかし、こういった行動は動物として当たり前の探索行動なので、無理矢理止めさせることは難しいです。

【イタズラを防ぐ3つのポイント】
・噛んでもいいものを与える
ワンちゃんにとって噛む事は自然な行動であるため、子犬さんの時期は何でも噛みたがります。
デンタルガムなどを噛む習慣を覚えさせると、歯磨き時間が短縮できますし、破壊行動の予防にも繋がります。
そのほか、暇つぶしになるオモチャ(コング、ガム、ビジーバディなど)を与えて、本能の捌け口を作ってあげましょう。
また、噛んで欲しい物を噛んでいる時に優しく声をかけたり、ご褒美を与えるなどして、好ましい行動を強化することも一つの方法です。

・散歩や遊びなどでエネルギーを発散させる
運動不足だと甘噛みが激しくなる傾向があるので、たくさん遊ばせてエネルギーを発散させてあげましょう。
こまめに子犬さんをケージから出して、一緒に遊んであげることでストレス解消になるし、飼い主さんとの絆も深まります。

・イタズラするものを届く場所に置かない
 イタズラされて困る物は子犬さんが届かない所に置きましょう。
家具のように移動できないものは「ビターアップル」などを使って、子犬さんにとって嫌な匂いを付けるとよいでしょう。
ビターアップルは犬の嫌がる味がするしつけ用品で、スプレーやクリームタイプのもが市販されています。
ビターアップル
<画像:ビターアップル>
※ビターアップルは時間が経つと効果が薄れるため、繰り返しかける必要があります。
子犬さんは何度か口にして嫌な味がすると学習すれば、やがてこれらのものを噛まなくなっていきます。

また、噛んで欲しくないものを口にしていたら、別の場所に呼び寄せて、好物や別のオモチャと交換させるなどして、さりげなく取り上げましょう。
無理やり取り上げると攻撃的になったり、誤って飲み込んでしまったりする危険があります。

【噛まれたくない種類の物はどんな状態でも一切与えない】
子犬さんは「あのスリッパは噛んで良いけど、こっちのスリッパは噛んではいけない」などという判断が出来ません。
そのため、要らなくなった靴やスリッパをオモチャとして与えてしまうと子犬さんは、どんな靴やスリッパも噛むようになってしまいます。

そうならないためにも、噛んで欲しくない物はオモチャとして与えてはいけません。

子犬さんのトイレトレーニング

子犬さんのトイレトレーニング

子犬さんのトイレに関するお悩みは「お悩みトップ3」に入ります。
サークルの中に居る時はトイレで用を足せますが、サークル外では色々な所でトイレをしてしまうというお悩みをよく耳にします。
今回は、子犬さんのトイレトレーニングについてお話します。

【トイレトレーニングのステップ】
・トイレへ誘導
子犬さんが排泄を催す様子がみられたらトイレサークルへ誘導します。
この時、手にご褒美を持ちながら誘導するとスムーズに出来ます。
サークルの入り口を覚えさせるためにも、必ず扉から入れるようにしましょう。
抱っこしてサークルの上から入れると、子犬さんはトイレの場所が分からなくなってしまいます。
子犬さんがトイレサークルに入ったら、忘れずに扉を閉めましょう。

・排泄するまで待つ
子犬さんが排泄を始めるまで、とにかく待ちます。
落ち着いて排泄させるために、じっと見つめたり「早くしなさい」と声をかけるのは止めましょう。
さりげなく見守るのがポイントです。

・排泄したら3つのご褒美
ご褒美その1、「いい子だね」「良く出来たね」と優しく褒め言葉をかける。
ご褒美その2、大好きなごはん、おやつをあげる。
ご褒美その3、トイレサークルから出して、一緒に遊ぶ。

子犬さんがトイレで排泄できたら、必ずこの3つのご褒美をプレゼントしてあげましょう。
正しいトイレが出来る度にご褒美を与えられることで、子犬さんは「ここでトイレをすれば、嬉しいことがある」と学び、トイレを覚えることが出来ます。

【トイレトレーニングのポイント】
・子犬さんを自分の側におく
飼い主さんは自分の目が届く範囲で子犬さんを遊ばせておきます。
子犬さんが排泄しそうな様子がみられたら、すぐにトイレへ誘導しましょう。

・ペットシーツと似たような素材のものは子犬さんのスペースから無くす
トイレを覚えるとき手がかりになるのは、足の裏の感触です。
似たような感触のもの(玄関マット・バスマット・キッチンマット・布団)が傍にあると、そこがトイレだと勘違いしてしまう可能性があります。
子犬さんがトイレの場所を間違えないように、似た感触の物は子犬さんの活動スペースから片付けておきましょう。

・子犬さんの排泄のタイミングとサインを知る
<排泄のタイミング>
・食事や水を飲んだあと
・遊んだりして興奮したとき
・ハウスからでたとき
・寝て起きたとき
・外出から戻ったとき

<排泄のサイン>
・床の匂いをくんくん嗅ぎまわる
・クルクルと回ったり、そわそわしだす
・急に部屋の隅の方へ走る
・突然しゃがみこむ

子犬さんをよく観察し、排泄しそうな様子がみられたら、また、そのような様子がみられなくても定期的(1~2時間ごと)にトイレに誘導してみてください。
排泄したらすぐに褒めてご褒美を与えましょう。

・排泄の失敗を叱らない
排泄の失敗を叱ると、子犬さんは「排泄そのものが悪いこと」だと思い、飼い主さんの前で排泄しなくなってしまいます。
また、トイレに入ったら急かしたり説教をしてはいけません。
「トイレは怖い所なんだ」と認識してしまい、避けるようになってしまいます。

・頻繁に失敗する場所は、その場所に物を置いたり、入れないようにする
絨毯や畳に失敗してしまった場合、洗う事が出来ず匂いが残ってしまいます。
匂いが残っていると繰り返し排泄する事があるので、その部屋は入れない様にしましょう。

【食糞には冷静に対処する】
食糞(しょくふん)とは、自分のウンチや他の動物のウンチを食べてしまう行動です。

母犬は、生まれたばかりの子犬さんの肛門を舐めて排泄を促します。
排泄したら、そのお部屋をキレイに保とうとして、排泄物を食べるという習慣があります。
また、外敵に気付かれないように、痕跡となるウンチを食べる事もあります。
こうした流れがあるため、食糞は特別なことではありません。
しかし、出来るなら止めさせたいですよね。

一番の対処法としては、排泄したらすぐウンチを片付ける事です。
また、食糞について騒ぐと「飼い主さんが構ってくれる」と勘違いしやすいので、あくまでも冷静に対処することが大切です。

学習の仕組み

学習の仕組み

 子犬さんは「おすわり」や「お手」をどうやって学習しているのでしょうか。
基本的には子犬さんの学習の仕組みは人間と同じです。
今回は「学習の仕組み」について紹介します。

【古典的条件付けは“予測”の学習】
「古典的条件付け」とは、簡単にいうと予測させる学習の事です。

皆さんは「パブロフの犬」というものをご存知ですか?ソビエト連邦の生理学者パブロフは、犬にご飯を与える前にベルを鳴らしていました。
これをしばらく続けていると、犬はベルを鳴らしただけでヨダレを出すようになったという条件反射の実験です。

私達もレモンを見ると、唾液が出てきますよね。
生まれた時はレモンが酸っぱい事を知りませんが、何度も食事(経験)を通して知り、次第に条件反射となっていきます。
「お散歩」と聞くと、すごく嬉しくなる子犬さんも古典的条件付けによって学習しているといえるでしょう。
「お散歩だよ」という言葉の後には、外に連れて行ってもらえる事を経験から“予測”しているのです。

 このように古典的条件付けとは、何度か経験させる事によって“予測”する学習です。

【オペラント条件付けは“経験”の学習】
 古典的条件付けの他には、オペラント条件付けという学習の仕組みがあります。
オペラント条件付けというのは、行動分析学の創始者スキナー(アメリカ)が提唱した学習の方法です。
スキナーは、犬がレバーに触れると『「ご飯をもらえる」か「電流が流れる」』という仕組みを作りました。
ご褒美を得られた犬は積極的にレバーに触れるようになった一方、電流が流された犬はレバーに近付かなくなります。
つまり「結果によって行動の頻度が左右される」ということです。

投げたフリスビーやボールを拾ってくる子犬さんは、教えなくてもボールを拾ってきます。
これは「投げたボールを持って来れば飼い主さんに構ってもらえる」と学習しているからです。

【嫌な体験も学習します】
子犬さんは、良い経験よりも嫌な経験の方が覚え易い傾向にあります。
それは生物として危険を察知する本能なのかもしれません。

例えば、黒い服を着た男の人に嫌な事をされた子犬さんは、その人だけを嫌いになるのではなく「黒い服を着ている人」もしくは「男の人」全員が嫌いになってしまうことがあります。
つまり、 似たようなものに対しても恐怖を感じやすくなってしまうのです。
これも学習の仕組みの一つで「般化(はんか)」といいます。

【子犬さんの時期は不安にさせない工夫が重要】
子犬さんの心は、とても敏感です。
子犬さんの時期にトラウマになってしまった事は、成犬になってからも怖がります。
ですから、特に子犬さんの内は、褒める、声をかけて落ち着かせる、ご褒美を与えるなどして、怖い経験をさせない、もしくは和らげるように工夫することが重要です。

子犬さんの問題行動

子犬さんの問題行動

子犬さんと一緒に暮らしていれば、一度位は子犬さんの「吠える」「噛む」「壊す」などの行動に悩まされた経験があるはずです。
こうした行動は「問題行動」といい、学習することで解決します。
今回は問題行動についてご紹介します。

【問題行動は本能】
問題行動とは「吠える」「噛む」「壊す」といった、一般的に飼い主さんを困らせる行動を指します。
困るのは主に飼い主さんやご家族であって、子犬さんにとっては何も問題ではありません。
むしろ、問題行動は子犬さんにとって正常な行動といえます。

その理由は、子犬さんが吠えるのは飼い主さんを困らせたいからではなく、何かを警戒している、遊んでほしい、ごはんがほしいなど、いろいろ理由があります。

物を噛むのも、気になったものは口に入れて確認したいという本能から来る行動の一つです。
つまり「問題行動」とは犬の世界だと当たり前の行動であり、人間と一緒に生活する場合に問題となってしまう行動だと言えるでしょう。

【問題行動を止めるのは生活していく上で必要な事】
先述したように、問題行動は本能によるものです。
しかし「本能だから仕方ない」「動物として正常な行動だから、改善しなくても良い」という事にはなりません。
確かに、子犬さんの気持ちを理解してあげる事は大切ですが、子犬さんがずっと問題行動を続けていたらどうでしょうか。
きっと、飼い主さんは「一緒に生活が出来ない」と思う様になるでしょう。
問題行動を止めさせることは、子犬さんと生活するために必要な事なのです。

【アメリカにおける犬の死因トップは・・・】
少し話は変わりますが、アメリカにおいて犬の死因ナンバー1は問題行動だと言われています。
「吠える」「噛む」「壊す」といった問題行動に我慢できなくなった飼い主さんが、愛犬を愛護センターに連れて行くそうです。
この数は事故や虐待よりも圧倒的に多いと報告されています。
そして、非常に残念な事ですが、愛護センターに連れて行かれたほとんどの犬は、殺処分される運命にあります。

 また、残念ながら日本でも問題行動を理由に犬を保健所に預ける飼い主さんが増えています。
保健所に連れていく理由の多くは「引越し」です。
引越先で一緒に暮らせなくなるので、保健所に預けるというケースが多いのです。
しかし、一部では「最近はペット可の物件が多くなってきている。問題行動を起こさない犬であったら、もしかしたら一緒に連れて行ってもらえたかもしれない」と、本当の理由が引越し“ではない”事を示唆する声があります。
とにかく、問題行動を予防することは事故や事件から避けるためだけでなく、犬の命を守る事にも繋がるかもしれないという事です。

【問題行動は学習で解決】
問題行動は学習することで解決できます。
そして、学習の仕組みは人間も動物も同じです。
子犬さんにどのように学習してもらったら、良い方向へ持っていけるのかが重要です。
そしてそれをお手伝いするのが「パピークラス」や「社会化コース」などの“しつけ教室”と言われるものなのです。
愛犬と末永く暮らしてくためにも、是非、学習の機会を設けてはいかがでしょうか。

犬種による遊び方の違い

犬種による遊び方の違い

犬の遊びは、子犬の時期と成犬の時期で違いがあります。
子犬の時期は小型犬・大型犬、どんな犬種とも仲良く遊びますが、成犬になると誰とでも仲良く遊ぶという事が少なくなります。
それは犬種ごとに、それぞれ好きな遊び方が異なるためであり、同じ犬種同士の方が仲良くなりやすく、別の犬種だと仲良くなりにくいというわけです。

犬は、性成熟を迎える頃になってくると、犬種特有の好きな遊び方を優先していきます。
あらかじめ犬種による遊びの好みを知っていれば「犬種の特徴だから」と納得できますし、色々な対応が出来るようになります。
今回は、犬種による遊び方の違いを紹介します。

・レトリバー種、闘犬、軍用犬などの大型犬
体をぶつけ合う遊びが大好きです。

・ボーダーコリーなどの牧畜犬
羊などを追いかけてきた歴史があるからか、追い抜き・前方に回り込む、みんなをまとめるような動きの遊びが大好きです。

・セッターなどポインターの犬種
ひたすら真っ直ぐに走ることが好きな犬種です。

・シェパードやボクサーなど人懐っこい犬種
相手の背中に手をかけて飛び乗るような遊びが好きです。

【犬種の組み合わせによって遊び方が変わる】
例えばセッターとボーダーコリーを遊ばせた場合、セッターは「前を真っ直ぐ走りたい」と遊びますが、ボーダーコリーは「前に回り込む」のが好きです。
もし、セッターがボーダーコリーに回り込まれたら「遊びを邪魔された」と不機嫌になってしまいます。
また、ボーダーコリーがスピードに追いつけず、回り込めなかった場合も「遊べなかった」とガッカリしてしまいます。
もし、異なる犬種間で遊ぶ機会がある時は、できるだけお互いの遊びが成立するような組み合わせにするのが望ましいです。
とにかく、犬種の好きな遊びにも相性がある事を知っておきましょう。

【環境によっては犬種を越えて遊ぶこともある】
それぞれの犬種で好きな遊びは異なりますが、子犬の時からずっと一緒に遊んでいる相手同士であれば、成犬になっても仲良く遊びます。
成犬の小型犬と大型犬が遊んでいたり、犬と猫がじゃれ合ったりする光景はそれらが理由です。
一般的には、犬種や年齢によって遊び方が異なってくるので、子犬の頃みたいに上手に遊べない子がいても不思議ではありません。
そうした場合は、無理に遊ばせようとしてはいけません。
「遊びが異なっているから仲良くなりにくいのかな」と理解してあげることも大切です。

子犬さんの遊びとケンカの見分け方

子犬さんの遊びとケンカの見分け方

子犬さん同士が遊んでいる時、遊びなのかケンカなのか分からない時がありませんか?
私達には遊んでいる様に見えてもケンカもしくはイジメられていたり、その逆にケンカと勘違いして仲裁に入ったところで「せっかく遊んでいたのに邪魔しないでよ」と子犬さんが怒る事もあります。
飼い主さん同士の交流を深めるためにも、遊びとケンカを見分けることは大切です。
今回は、子犬さんの遊びとケンカの見分け方についてご紹介します。

【遊びに伴う仕草や行動】
・プレイバウ
前足を屈め、お尻を持ち上げるようなポーズで「遊びのお辞儀」と言われている行動です。
プレイバウのポーズは「遊ぼうよ」と相手を誘っていて「これからする行動は遊びだよ」と相手に伝えています。
プレイバウをした後に相手を追いかける場合は、事前に「これから追いかけるけど、あなたを狙っている訳ではないよ」と知らせているのです。

プレイバウ
<画像:プレイバウ>

・セルフ・ハンディキャッピング
セルフ・ハンディキャッピングとは、自分からハンディを相手に見せるような行動です。
大人が子ども相手に勝負する時わざと負けたりしますが、それと同じ事です。
わざと仰向けになり負けた様に振る舞います。
役割交替の時にもよく見られる行動です。

・プレイバイト
犬は口を使って遊ぶことがありますが、それを「プレイバイト」と呼びます。
一見、お互いに噛みつき合おうとしている様にも見えますが、噛み付く強さは抑えられていて、数秒以上同じ箇所に口を当て続けることはありません。

【遊びのポイント】
遊びの行動を見極めるポイントとしては、体全身がリラックスしているかどうかにあります。
全身がリラックスしていて、遊びの行動が多く見られれば楽しんでいることになります。
逆に、筋肉が緊張していたり、ずっと攻撃的な姿勢、ずっと追いかけられている場合は遊びではありません。

【遊びからケンカになっていく事もある】
楽しく遊んでいたとしても、興奮してくるとケンカになる場合があります。
以下の様な行動が見られたら、ケンカに発展しやすいので注意が必要です。

・役割交代が無い
追う側、追いかけられる側の役割交代が無いのは危険信号です。
ずっと追いかけている方は調子に乗ってケンカを売るような態度をしがちになりますし、追いかけられ続けている方は、犬が怖くなってしまう恐れがあります。

マウンティング(のしかかり)も同様です。
お互いにマウンティングしている様であれば全然問題ありません。
しかし、一方的にしつこいマウンティングが続く場合はケンカ(イジメ)に発展する危険性があります。

・同じ所をずっと噛み続けている
口を使って遊ぶプレイバイトでは、ずっと同じ所を噛み続ける事はありません。
子犬さんが相手を噛み続けていた場合は、すぐに止めさせましょう。

・唸る
遊びでも唸ることは多いです。
しかし、唸り声がだんだん大きくなったり、声のトーンが低くなったりする場合は本気になりつつあります。

・立ち上がる
小型犬や体重が軽い犬種は、身軽なので立ち上がって遊ぶことが多いですが、中型犬や大型犬の子犬さんが立ち上がる場合は興奮している事が多いです。
こうした場合は、落ち着かせてあげましょう。

【ケンカになりそうだなと思ったら早めに行動する】
ケンカになりそうだなと思ったら、間に入って一旦中止させる、おやつを与えて気を逸らしてみる、相手と距離を置いてみる等して、本気のケンカにならないようにしましょう。
もし、ケンカに発展した場合、トラウマとなって犬や公園が嫌いになってしまいます。
子犬さんの社会化のためにも、楽しく遊べるような環境を意識しましょう。

ストレスとカーミングシグナル

ストレスとカーミングシグナル

子犬さんは小さくて好奇心旺盛な反面、怖がりなところもあります。
怖がりな子犬さんや病院嫌いの子犬さんが動物病院に来ると「何されるんだろう?」とストレスを感じるのも無理はありません。
ストレスを感じている時、子犬さんの体にはどのような変化が起きているのでしょうか。
今回はストレスによる体の変化についてお話します。

【犬がストレスを受けた時の代表的な変化】

・食欲の変化
よく「食事が喉を通らない」と言いますが、子犬さんも緊張すると食欲が失くなります。
酷いストレス状態だと、大好きなジャーキーすら食べません。
その反対に、お水をガブガブ飲む事もあります。
ストレスを緩和してあげると、飲水量は自然に減っていきます。

・排泄の変化(下痢)
人間と同じで、子犬さんは緊張するとトイレが近くなります。
排泄したばかりなのにトイレに行くという事も珍しくありません。
酷いストレスの場合、下痢を起こす事もあります。

・毛が抜ける
緊張して毛が逆立つ事によって毛が抜けやすくなります。
診察が終わって診察台に毛が大量に落ちていたら、それは緊張していた証拠です。
また、毛が抜けるのと同じように毛が立つとフケが出てくることがあります。
黒い毛の子犬さんの場合、診察の後で背中が真っ白になるくらいフケが出ているケースも見られます。

・汗をかく
人間は緊張すると手に汗をかきますがそれと同じで、犬も緊張すると肉球に汗をかき濡れていることがあります。
診察台の上で緊張して肉球に汗をかき、診察台に足跡がつくこともあります。

――そのほかにも

・吠える/鳴く
・口をパクパクモグモグする
・パンティング(あえぐ)
・過剰なグルーミング
・よだれを流す
・震える
・筋肉がこわばる
・集中できない

――のような変化が現れます。

【ストレスには個体差がある】
動物病院に来てもストレスを全く感じない子犬さんもいれば、怖くてビクビクしている子もいます。
育った環境によっても違ってくるかもしれません。
子犬のときに社会化を十分に行った犬と、社会化が不十分な犬で比べると、やはり社会化が十分な犬の方が色々な体験をしているのでストレスを感じにくくなります。

【飼い主さんの態度もストレスに影響する】
犬は飼い主さんの表情に敏感です。
例えば、診察室でこれからワクチンを打つという時に飼い主さんが「痛そうだな」「心配だな」という気持ちでは、子犬さんも不安になってしまいます。
診察やワクチン接種のときは、ストレスを軽減してあげるために、常に「大丈夫だよ」「お利口だね」など優しく声をかけてあげましょう。

【カーミングシグナルとは】
カーミングシグナルとは、不必要な争いを避けるために相手に対して敵意が無い事を示したり、相手や自分を落ち着かせたりする行動です。
カーミングシグナルが見られた時は、子犬さんが不安や不快感を覚えているかもしれません。
カーミングシグナルの種類には、次のような動作があります。

・鼻を舐める
非常に緊張している時によく現れる行動です。
知らない場所に連れて来られると、よく鼻を舐める子犬さんを見かけます。
緊張しているときに鼻を舐めるのは「ここはどこ?」「これから何するの?」といった、自分がどういう状況に置かれているのか分からず、情報をいっぱい欲しがっている時です。
どうして鼻を舐めるかというと、匂いというのは水分子に触れると非常に強く感じる事が出来るため、鼻を濡らして匂い(情報)を沢山得ようとしているのです。

・体を掻く
急に体を掻き始めます。
これは、自分を落ち着かせる、緊張を落ち着かせる時の行動だといえます。

・あくび 
あくびは緊張の現れです。
動物病院や知らない所に行った時に不安やストレスを感じるとあくびをする事があります。

――そのほかにも

・体重を後ろに移動させる
・スクラッチ(背伸びをする)
・全身を振るう
・視線を逸らす
・地面の匂いを嗅ぐ
・瞬きをする
・口をパクパクさせる

――など。

【カーミングシグナルの注意点】
気を付けなければいけないのは、「あくびをしたから緊張している」と決めつけてしまう事です。
もしかしたら、眠いから、ただ単純にあくびをしたのかもしれません。

カーミングシグナルを正確に見極めるポイントは、子犬さんが「今、どのような状況に置かれているか」を考えてあげることです。
子犬さんの体全体の様子と環境を考慮してあげることで、子犬さんの気持ちを理解してあげられる様になっていくでしょう。

犬種によるボディ・ランゲージ

犬種によるボディ・ランゲージ

犬は主に視覚でコミュニケーションを行うため、ボディ・ランゲージが豊富です。
しかし、耳や尻尾、体毛に特徴がある犬種の場合は、ボディ・ランゲージから表情や気持ちを見分ける事が少し難しいケースがあります。
例えば尻尾が巻かれて体にくっついているブルドッグ、尻尾が背中に乗っている柴犬などは、尻尾だけを観て気持ちを読み取ることが難しいです。
また、イタリアングレーハウンドはリラックスした状態でも尻尾が下がっています。
犬種ごとの特徴を知っていれば、尻尾が立っているから「怒っているのかな?」、下がっているから「怖がりなのかな?」という勘違いをしなくなります。
今回は、犬種によるボディ・ランゲージの特徴について紹介します。

【まずはリラックス状態を知ろう】
ボディ・ランゲージを読み取るには、まずリラックスした状態はどんな姿勢で、どんな表情をしているのかを理解しておくことが大切です。
リラックスした状態を理解していれば、緊張や不安なときのボディ・ランゲージがより読み取りやすくなるからです。

【耳は付け根がポイント】
尻尾と同様に耳も、子犬さんの気持ちを見分けるポイントになります。
耳に特徴がある犬種は沢山ありますが特に垂れ耳の犬種の場合、耳の付け根部分を観ると様子が解りやすくなります。

断耳や断尾している子犬さんの場合、耳や尻尾の動きが解り難いので表情を読み取るのが困難です。
私達がよく観察しても尻尾の動きが解り難い犬種は、犬同士においてもコミュニケーションが難しいようです。

【長毛種は特に注意深く観察する】
犬は緊張状態だと背中の毛が立ち、耳がピン立ちます。
柴犬、ラブラドールなどの毛が固くて短い犬種は、背中の毛が立つと一目で解ります。
これに対して、柔らかい毛や長毛の子犬さんは緊張しても毛が立ちません。
また、普通の犬は耳が前方もしくは後方を向きますが、毛が長い、もしくは柔らかい犬種では、耳が毛で隠れてしまって表情を読み取る事が難しいです。
余談ですが、チャウチャウ、コッカ、スプリンガースパニエルなどの犬種は、人が咬まれてしまう咬傷事故が多いと言われています。
咬傷事故が多く報告される理由には、闘犬としての歴史、犬種の特徴や気質の問題もありますが、身体のライン、耳、口が毛で隠れているため、怒りや緊張のサインが出ているのに気付かずに構ってしまったが故に攻撃される事が考えられます。
長毛種の飼い主さんは、特に子犬さんの表情に気を使いましょう。

【子犬さんの身体全体を観る】
 子犬さんの気持ち(ボディ・ランゲージ)を理解するためには、普段の様子を知っておく事がとても大切です。
また、必ず身体の一部分ではなく全身を観ましょう。
体の一部だけで判断すると誤解する事が多いです。
子犬さんが緊張や不安を感じている時、飼い主さんが素早く気持ちを感じ取ってくれたら、子犬さんもきっと嬉しいと思いますよ。

子犬さんの上手な「おすわり」

子犬さんの上手な「おすわり」

子犬さんの頃から、ちゃんとした「おすわり」が出来ると、お出かけやお買い物がとても楽しくなります。
ちゃんとした「おすわり」とは、飼い主さんが「動いてもいいよ」と合図するまで「おすわり」をし続ける事ですが、好奇心でいっぱいの子犬さんには難しいかもしれません。
今回は、おすわりの上手な教え方や失敗し易いポイントについてご紹介します。

【おすわりの基本ステップ】
「おすわり」を教える流れを大きく分けると
・子犬さんにおすわりのポーズを教える
・子犬さんに解除の合図を教える
――の2つになります。

・おすわりのポーズを教える
ご褒美を持った手を鼻先の上に持っていき、おすわりのポーズへと誘導させます。
上手におすわりのポーズが出来たら、ご褒美を与えましょう。
おすわりし続けている間は、どんどんご褒美を与えて構いません。
まずは、子犬さんに「おすわりし続けていれば、どんどん美味しい食べ物がもらえる」ということを教えましょう。
その際に「おすわり」や「Sit(シット)」など、おすわりの言葉を投げかけて覚えてもらいます。

・解除の言葉を教える
 そして、子犬さんが自分から「おすわり」を止めてしまうより先に解除の合図を出して、おすわりさせるのを止めます。
もちろん、ご褒美を与えるのも止めます。
合図は「よし!」「OK!」など、好きな言葉で構いません。
手の合図は声の後にするのがポイントです。

【上手なおすわりへと導く3つのポイント】
・子犬さんが注目している時にトレーニング
トレーニングは、子犬さんが飼い主さんに注目している時に行いましょう。
特に「始まり」と「終わり」の合図は、子犬さんが飼い主さんに注目しているかをしっかり確認することが大切です。

子犬さんが飼い主さんに注目しているのにも関わらずご褒美を与え続けてしまい、何も気付かない飼い主さんが「動いていいよ」と合図してしまうと、子犬さんは「飼い主さんに注目しなくてもご褒美をもらえる」という、いわゆる“食い逃げ”を覚えてしまいます。
トレーニングや合図は、子犬さんが飼い主さんに注目している時に行いましょう。

・練習時間は短く、回数を分けて行う
子犬さんの集中力は長くは続きません。
すぐに飽きてきてしまいます。
子犬さんが飼い主さんに注目しなくなった時は一旦トレーニングをお休みしましょう。
練習は短く、段階に分けて行うのがコツです。

・子犬さんに自信を持ってもらう
上手なトレーニングのコツは、子犬さんに自信をつけさせてあげることです。
悪い例としては、最後に難しい事に挑戦させて「何で出来ないの!?」と言って終えることです。
こうなると子犬さんは「自分はダメだ」「飼い主さんの期待に応えられなかった」と自信を無くしてしまいます。
最後は簡単なトレーニングを復習して「良く出来たね」と褒めてあげましょう。
褒められて自信がつくと、トレーニングも進んで受けてくれるでしょう。

【トレーニングはコミュニケーション】
 トレーニングは子犬さんに芸を仕込んだり、飼い主に従わせるものではありません。
お互いが気持よく生活するために必要なコミュニケーションやルールを理解する機会です。
子犬さんがヘトヘトになっていたり、ヤル気が見られないときは休ませてあげることも大切です。

子犬さんへの教え方

子犬さんへの教え方

犬は視覚でコミュニケーションをとる動物です。
尻尾を立てた姿や耳が寝た様子を仲間に見せて情報を伝えます。
そのため、飼い主さんの手が「上がった」「回った」という行動は、子犬さんにとって理解しやすい合図となります。
私たちは子犬さんに対して「おすわり」や「待て」など、声で指示することがありますが、実は子犬さんは「声(音)で覚える」ことは得意ではありません。
それでは、どのような教え方が効果的なのでしょうか。
今回は解りやすい教え方ついてご紹介します。

【まずは「注目をする」ということを教えましょう】
これは一番の基本であり、重要なトレーニングです。
これから、色々なことを教えていく中でアイコンタクトは必要不可欠です。
そのために、できるだけ早い段階で子犬さんに覚えてもらいましょう。

・注目させる手順
・ご褒美を子犬さんの鼻先の高さに持っていき、匂いを嗅がせます
・ご褒美を持った手を顎の下辺りに持っていきましょう
・子犬さんが自分の顔を見てくれたら、褒めてからご褒美をあげます

ポイントは「いい子だね」「お利口だね」と、褒めてからご褒美を与えることです。

もし、子犬さんが飼い主さんの目ではなく、首や口元を見ていたとしてもご褒美をプレゼントしましょう。
最初は目を見ていなくても、繰り返しトレーニングをしていくことで「飼い主さんを見れば美味しいものをくれる」「良いことがある」と覚えていき、最終的にアイコンタクトが出来る様になります。

【基本的には叱らない。
褒めて教えましょう】
ひどく叱られるとご家族との信頼関係が崩れるだけでなく、恐怖で噛みつくようになったり、何をしても叱られると思ってしまう子犬さんに育ちます。
これでは、お互いに良いことがありません。
出来ることなら褒めて教えていきましょう。
叱り方が悪いと子犬さんの行動が悪化するケースがあります。
以下の方法は控えましょう。

・「殴る」「叩く」「蹴る」
痛みを伴う体罰は、お互いにメリットがありません。
むしろ子犬さんからの信頼を失うだけで、しつけにはなりません。

・威嚇する
地面を叩くなどの威嚇は子犬さんに恐怖心を与え、人を怖がるようになってしまいます。

・グーにした手を口に入れる
甘噛みを抑制する方法と言われていますが、むしろ遊びになってしまうことの方が多いため逆効果です。

・鼻先をつかむ、鼻ピン
敏感な部分である鼻を指で弾くのは、子犬にしてみれば体罰と同じです。

【目を逸らしたら許してあげる】
犬が目を逸らすのは「歯向かうつもりはない」と伝えているのです。
犬が目を逸らしたら、こちらも許してあげましょう。

【無理にお腹を出させるのはNG】
犬同士の挨拶で、子犬がコロンとひっくり返ってお腹を見せるのは服従のポーズですが、人が前肢を掴んで一方的にひっくり返しても意味はありません。
威圧のしすぎで恐怖を与え、体を触らせない子になってしまうかもしれません。

【しつけは「お互いが楽しく過ごすためのルール」という事を忘れずに】
 子犬さんに色々教えるのは、一緒に楽しく過ごしていくためのルールを知ってもらうためです。
ルールを知ってもらう段階で子犬さんがご家族に怖い感情を抱いてしまっては本末転倒です。
子犬さんの気持ちを理解してある程度すり寄ってあげることが大切です。