変形性関節症とは、関節に過剰な負担がかかったり、関節が不安定になったりして、関節に腫れや痛みがでる病気です。
ひどい場合には、”足を上げる”といった症状がみられますが、実際には慢性痛といった症状が多いです。
この場合、ワンちゃんやねこちゃんは、少しずつの痛みを長期間受けていますが、それを言葉にすることはできないので、
”あまり歩かない”、”元気がなくなった”、”食欲がなくなった”といった症状としてみられることがあります。
近年ペットとして飼われているワンちゃんやねこちゃんの平均寿命が長くなり、また、動物さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)が
より重視されるようになっているため、この病気の治療は今までにまして重要になっています。
病気の原因としては関節部分の骨の異常(膝蓋骨脱臼、股関節形成不全等)や靭帯の異常(前十字靭帯断裂等)、および老化や肥満等が挙げられます。
関節内にある軟骨が徐々に損傷を受け、悪化すると骨の部分にまで変形がおよびます。
診断は、触診(関節の腫れや痛み、正常に曲げ伸ばしできるかの確認)やレントゲン検査(骨の変形等の確認)によって行います。
治療についてはいくつかの方法がありますが、関節の変形が進んでいる場合にはそれを元通りに治すのは残念ながら難しいです。
なので、治療の主な目的は痛みや腫れを抑えること、病気の悪化を抑えることになります。
<治療法>
・飲み薬や注射による消炎鎮痛剤の使用
・サプリメント(コンドロイチン、グルコサミン等)
・体重管理
・リハビリテーション
その中でもリハビリテーションには、
・関節を動かしてあげることで、関節の動く範囲を拡げる・維持する
・筋力を維持することで関節にかかる負荷を減らす
・減量
というような効果があります。
関節の曲げ伸ばしの補助や、水中での歩行などそれぞれの状態にあわせて行っていきます。薬を使わずに、症状を緩和できるので、ぜひとも治療に取り入れたい方法のひとつです。
みなさまのおうちのワンちゃんやねこちゃんの”歳だから”といって見過ごしていた症状も、こういった病気が原因かもしれません。何か気になる点等ありましたらスタッフにご相談いただければと思います。
獣医師 宮本